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2003年 6月29日

ランディング・ギヤが下りていることを指示する3個の緑のランプ。

うちの機体は足が出っぱなしの飛行機ではなく、上げたり下げたりができる飛行機だ。足(ランディング・ギヤ)は出しっぱなしよりも引き上げた方が空気抵抗が減って飛行速度が速くなるという得点がある。しかし、実際のランディング・ギヤは2個が主翼の下に、1個が操縦席の前にあり、パイロットからは下りているかを目視で確認することがまったくできない。そこでコクピット内にはギヤが下りていると点灯する3個の緑のランプがあるわけだ。

今日は天候も気流も非常によく、梅雨の合間のラッキーなフライト日のはず。当初の目的地である伊豆大島の天候が予報よりも悪く、四国の松山に目的地を変更。順調に道後温泉への空の旅は始まったわけだ・・・が。松山への最終進入中にギヤを下ろすも緑のランプが1個だけ点灯しない。「おや?」と思い、一度引き上げて再度のチャレンジ。2度目にギヤを下ろすも緑のランプは下の2個だけ(主翼の下の2個のギヤに相当する)が点灯。滑走路手前で着陸を一時断念。高度を400フィートで滑走路上をローパスという低高度での飛行を行い、管制塔に目視で見てもらうことに。

判定は・・・「え〜、ギヤは3個とも下りているように見えますが・・・」という管制塔からの交信が。緑のランプの電球切れか、はたまた接触がまずいのか・・・しかし、いくら目視でギヤがおりていようとも、しっかりとロックされなければランプは点灯しない。ロックしたかどうかまでは管制塔でも分からないのだ。

一旦は滑走路をローパスして、再度の着陸を試みることにした矢先に残りのランプも点灯。ことなくに着陸できたわけだ。最悪は胴体着陸という緊急事態。パイロットは訓練時にこれとまったく同じ状況を想定した訓練を繰り返しているが、今までこなしてきた訓練が活かされている実感をした。実際の処置もさることながら、この様な事態に遭遇しても慌てず、冷静に状況判断を行い、まず行わなければいけないのは何か?それでも回復・改善が見られない場合はどのようなシナリオがありえるのか?また、与えられた情報や状況でベストな判断は何なのか?これらを瞬時に考えていかなければいけない。当然だが、飛行機を飛ばすことが最優先だ。

今回は事無に着陸したわけだが、訓練の大切さをあらためて思い出した1日となった。松山タワーの皆様、お騒がせいたしました。