PIREPS選択画面に戻る
2003年 9月15日
第一航空のハンガーを出て上を見上げる。
フライトの朝、整備を委託している使用事業会社の建物で集合。パソコン画面に映し出される天気図や空港の実況気象などを確認しながら飛んでいく目的地や途中経路の確認、巡航高度の検討などを全て建物の中で行う。当然だが空は見えない。パソコン上の文字や地図、色などから天気の雰囲気を想像して全てを決める。実際に空を見上げて決めているわけではなく、いたって近代技術に頼ったフライトプランニングだ。100年前に初めて飛んだライト兄弟達には与えられていなかった技術。彼らは空を見上げて全てをプランニングしたに違いない。
とは言っても、我々パイロット達にはある癖がある。テクテクとハンガーを歩いてエプロンまで出て行く。まず最初にするのは空を見上げること。別に教わった儀式ではないのに、習慣化している。パっと見上げて、さっきパソコンで見ていた八尾の天気と一致しているか・・・一致しているのは当たり前のことだが、やはり見上げる。
「今日はどんなフライトになるのかな・・・」と緊張とワクワク、期待と共に飛行機に向かってゆっくりと歩く。離陸している小型機がエンジン音をフル回転にしながら空に向かって舞い上がっていく。そしてまた空を見上げる。
100年前のライト兄弟達も同じように青い空を見上げたのだろう。いったい何を思っていたのか。100年後の八尾空港でも誰かが空を見上げて飛び立っていくのだろう。いったい何を考えるのだろうか・・・