5.プッシュバック&エンジン・スタート


●プッシュバック開始

FO オール・ドア・クローズド
すべてのドアが閉まっていることを確認します。
CP コンタクト・旭川レディオ、リクエスト・プッシュバック
FO 旭川レディオ・クレセント・ゼロ・ワン・フォー、リクエスト・プッシュ・バック
ATC 旭川レディオ・クレセント・ゼロ・ワン・フォー、クリアード・フォー・プッシュ・バック・ランウェイ・スリー・フォー
FO プッシュバック・ランウェイ・スリー・フォー、クレセント・ゼロ・ワン・フォー


管制官からのプッシュバックの許可が出ました。グランド・クルーに伝えます。

CP グラウンド・コクピット、ウィー・アー・クリアード・フォー・プッシュバック・ランウェイ・スリー・フォー。エンジン・スタート・シーキュエンス・ライト・ゼン・レフト
エンジン・スタートを右側のライト・エンジンを最初にスタートし,次に左側のレフト・エンジンをスタートすることを知らせます。
クルー ラジャー。プッシュ・バック・ランウェイ・スリー・フォー。リリーズ・パーキング・ブレーキ。オール・エンジン・クリアード・フォー・スタート
CP パーキング・ブレーキ・リリーズド


トーイング・カーが機体を押して、プッシュバックを開始しました。

FO アンティ・コリジョン・ライト・スイッチ・・・・・オン


オーバーヘッド・パネルのアンティ・コリジョンライト(衝突防止灯)のスイッチをオンにすることにより、機体の上下で赤色のフラッシュ・ライトが点滅を始めます。この点滅はグランド・クルーに対してこれからパイロットがエンジン・スタートを始める合図にもなっています。オーバーヘッド・パネルのスイッチBをオンにします。

 

@・・・ポジションライト
A・・・ビーコンライト
B・・・アンティ・コリジョン・ライト
C・・・ウィングライト
D・・・ランディング・ライト
E・・・夜間照明スイッチ (夜間のみパネルを照らすライトが点きます)
F・・・ランウェイ・ターン・オフ・ライト (左右の2つあります)

FO エア・コンディショニング・パック・スイッチ・・・・・オフ

オートにしていたレフト・パックのスイッチをオフにします。キャビンではこの時エアコンが切れるのでシューと流れていた空気が止まり、キャビンはしばらく静かになります。レフト・パックをオフにすることにより、それまでエアコン・パックに流れていた APU からのニューマチック・エアの圧力が上昇しますので、オーバーヘッド・パネルにあるブリード・エア・コントロールのニューマチック・ダクト・プレッシャーインジケーターの針が上昇することを確認します。

 >


●ビフォー・スタート・チェックリスト

FO スタート・プレッシャー・・・・・フォーティ(40)ピー・エス・アイ
CP ビフォー・スタート・チェックリスト
FO パックス・・・・・オフ
スタート・プレッシャー・・・・・フォーティ・ピー・エス・アイ
アンティ・コリジョン・・・・・オン
パーキング・ブレーキ・・・・・
CP リリーズド
FO ビフォー・スタート・チェックリスト・イズ・コンプリーテッド


●エンジンスタート

CP グラウンド・コクピット、スタート・ライト
クルー ライト・エンジン・スタート どうぞ
CP スタート・ナンバー・ライト

ライト・エンジン・スタート・スイッチを GND にします。これにより、エンジン・スターター・バルブがオープンし、ニューマチック・エアがエア・ドリブン・スターター (エアー駆動スターター) に供給されるためニューマチック・ダクト・プレッシャーの指示が低下します。スタート・バルブがオープンするとスタート・バルブ・オープン・ライトが点灯したのち、しばらくして消えますので、これを確認します。スタート・バルブ・オープンライトは消灯しますが、実際にスタート・バルブが閉まるのはエンジン・スタートが正常に行われ、N2が50%近くになった時です。

FO スタート・バルブ・オープン


 >

下側の EICAS の N2 表示に注目します。N2 (エヌ・ツー) の数値が上昇を始めました。

FO エヌ・ツー


 

オイル・プレッシャー・インジケーションがわずかに上昇を示しました。

FO オイル・プレッシャー・ライジング


 

つづいて N1 (エヌ・ワン) の数値が上昇を始めました。

CP エヌ・ワン・ローテーション


 

N2 の指示を注視して、マゼンタ色のインデックスラインまで N2 の回転が上がるのを待ちます。約 18 がインデックスラインです。

 

N2 がインデックスラインを超えて18%以上になったらペデスタルのスロットルの下にあるフュエル・コントロール・スイッチをカットオフの位置からラン(RUN)に入れます。これによりフュエル・コントロール・スイッチのすぐ上の ENG VALVE と SPAR VALVE が点灯したあとすぐに消灯し、エンジンの運転が開始されます。エンジン・スタートが正常で無かった場合にすぐにエンジンをストップできるようにフュエル・コントロール・スイッチからまだ手を離さないで下さい。

 

EGT (タービン・イグゾースト・ガス・テンペレチャー:タービン排気ガス温度) と FF (フュエル・フロー) の数値の上昇をモニターします。

 

N2 が49%を超えるとエンジン・ブリード・エア・バルブが自動的に ON になり、右エンジンからのブリードエアーが供給され、ニューマチック・ダクト・プレッシャーインジケーターが上昇し、センタータンクの燃料ポンプが ON になります。

 

  

そのあと約2秒後にエンジン・スタート・スイッチが GND から AUTO に自動的に切り替わり、それに伴って油圧システム、電源システム、センター・タンク燃料ポンプが自動的に ON になります。これらを全て確認後、FO がコールします。実際にはバルブクローズの確認目で見て行うことは少ないようです。エンジン・スタート・スイッチがGNDからAUTOに自動的に切り替わる時、パチンという音がします、AUTOに切り替わるという事はスタートバルブがクローズするという事なので、この音が聞こえる事によりバルブがクローズしたものと判断するのです。もしエンジン・スタート・スイッチがGNDからAUTOに切り替わったのにスタートバルブがクローズしない場合、EICAS にその旨のメッセージが表示されます。

FO スターター・カットアウト


 

 

エンジンが加速しアイドルで安定するまでの間、N1 , EGT , N2 , FF およびオイル・プレッシャーがノーマル・インジケーション (正常指示) であることを確認します。EGT がピーク (最大値) を指示して下り始めるのを確認します。767PIC では EGT が最大 456 で下がることは無いようです。この値は飛行環境等によって変化します。安定していることを確認したら

FO ライト・エンジン・スタビライズド
CP ラジャー

これで ライト・エンジンの始動が完了しました。つづけてレフト・エンジンの始動を行います。

CP グラウンド・コクピット、スタート・レフト
クルー レフト・エンジン・クリアード・フォー・スタート
CP スタート・レフト

レフト・エンジンの始動はライト・エンジンの始動とまったく同じ手順で行います。レフト・エンジンの始動が完了したら

FO レフト・エンジン・スタビライズド
CP ラジャー



●アフター・スタート・プロシージャー
ここからアフター・スタート・プロシージャー (エンジン・スタート後の操作) を実施します。

FO エレクトリカル・・・・・ジェネレーターズ・オン

エンジン始動前からエンジン・ジェネレーター・スイッチを押しておくことにより、エンジンが始動し安定した電力が供給できるようになると自動的に ON になり切り替わります。エンジン・ジェネレーターからの電力が ON になっていることを確認します。

 

これにより APU はエアコンへのニューマチック・エアを供給するだけで APU から機体への電力供給は無くなり、機体の全ての電力は、左右のエンジンのエンジン・ジェネレーターから供給されています。

FO ピトー・ヒート・・・・・オン
ピトー・ヒートを ON にします。767PIC ではピトー・ヒートは自動的に ON にされますので操作はいりません。
FO アンチ・アイス・・・・・オフ/オン

エンジンの空気取り入れ口と翼の凍結防止のためアンチ・アイス・スイッチをオフ/オンします。地上にて凍結が予想されない場合のアフター・スタート・プロシージャーでは、これらのスイッチがオフであることを確認します。

 

FO エア・コンディショニング・・・・・パックス・オート

オーバーヘッド・パネルのパック・スイッチをライト・パック、レフト・パックの順番でそれぞれオフから AUTO (オート) にします。この操作によって、機内の与圧およびエアコンは、それまでの APU からすべて両側のエンジンからのエンジン・ブリード・エアに切り替わります。

 

B737-500 にはありませんが (本には載っていませんが)、ここで温度コントロールのための TRIM AIR スイッチをオンにします。

 

これでもう APU のブリード・エアは必要無くなりました。APU ・ブリード・エア・スイッチをオフにします。

 

本には載っていませんが、ここでエンジン・スタートに使用した左右のアイソレーション・バルブをオフにします。このアイソレーション・バルブはエンジン・スタートにのみ使用します。

 

FO APU・・・・・ディレイ・オフ

これで、APU の機能は全て両側のエンジンに移管されました。APU をオフにします。

 

B737-500 にはありませんが (本には載っていませんが)、ここでそれぞれのエンジンのパワーを制御するための EEC (エンジン・エレクトロニック・コントロール) スイッチがオンになっている事を確認します。オンになっていない場合はオンにします。

 

FO リコール・・・・・チェック

リコール・スイッチを押して全てのシステムにマスター・コーション・コンディションが存在していないことを確認します。

 

CP フュエル・コントロール・スイッチ・・・・・ラン(RUN)
レフトおよびライト・エンジンのフュエル・コントロール・スイッチがどちらも正しくラン(RUN)の位置に入っていることを確認したのち、グラウンド・クルーにエンジン・スタートが正常であったことを伝えます。通常の場合はこの時点でプッシュ・バックが完了しており、機体は既に停止しています。
CP グラウンド・コクピット、エンジン・スタート・ノーマル
クルー ラジャー。セット・パーキング・ブレーキ

パーキング・ブレーキをセットします。

  

CP グラウンド・コクピット。パーキング・ブレーキ・セット。ディスコネクト・オール・イクイップメント
クルー ラジャー。ディスコネクト・オール・グラウンド・イクイップメント。行ってらっしゃい。
CP はい、了解しました。行ってきます。



●アフター・スタート・チェックリスト

CP アウター・スタート・チェックリスト
FO ジェネレーターズ・・・・・オン
ピトー・ヒート・・・・・オン
アンチ・アイス・・・・・オフ
パックス・・・・・オン
リコール・・・・・チェックト
フュエル・コントロール・スイッチ・・・・・
CP ラン(RUN)
FO スタンディング・バイ・ワン・アイテム
CP ここで窓から外を見ます。グラウンド・クルー全員が整列してランプ・コーディネーターが手を上げていれば、グラウンド・イクイップメントの取り外しは完了です。手を大きく振ってグラウンド・クルーに合図してください。
コンティニュー・チェックリスト
FO グラウンド・イクイップメント・・・・・
CP ディスコネクテッド
FO アフター・スタート・チェックリスト・イズ・コンプリーテッド


これで滑走路へのタクシー (地上走行) の準備は完了しました。旭川レディオにタクシー・クリアランス (地上走行許可) のリクエストをオーダーします。