1999年12月28日

羽田- 那覇 最終フライト

 記念すべき世界一周までいよいよ最後のフライトとなりました。足掛け5ヶ月にわたるフライトもついにこれで終わりです。那覇をスタートしたときは真夏だったのですが、すでに冬至も過ぎ、真冬の到着となりました。最後のフライトを記念して、お友達のPAPIさんが愛機Dash8をとっても素敵に塗り替えてくださいました。世界一周を記念した素晴らしい塗装です。最終フライトはこの記念塗装機で飾りたいと思います。

PAPIさんによる記念塗装機

いかがですか?RACの塗装のモチーフを残しながら、世界一周をイメージした地球のマークと真っ青な海のブルー。素晴らしいでしょう?PAPIさんに心から感謝です。

さて、羽田から那覇までは838.9マイルです。GPSで飛んでしまってはもったいないので、再びVOR伝いに有視界飛行で那覇まで向かうことにしました。1130、燃料を満タンに積み込んだ愛機はファイナルフライトのために再びエンジンに火が入りました。今日の羽田は快晴ですが、風は347度から16ノットとやや強めです。ダイナの機体に混じって34Rに向けてタキシングを開始します。先行するジャンボを追いかけるといかにダッシュ8がこじんまりした機体かわかります。1138、ついに愛機は羽田を飛び立ちました。

羽田空港を飛び立つ

いつものように離陸するとすぐに右に大きく旋回し、東京湾上空をぐるっと回りながら横須賀経由で名古屋へ向かいます。今日の巡航高度は12000フィートとしました。

相模湾上空から

澄み切った冬の青空の中を機は西に向かって相模湾上空を飛びます。正面には雪を頂いた富士山が迫ってきました。

富士南麓を飛ぶ

御殿場上空、下界には芦ノ湖もはっきり見えます。右手には富士山が迫り、左下に駿河湾を眺めながらの快適なクルージングです。名古屋からは大津経由で岡山へ向かいます。大津上空では右下に琵琶湖がよく見えました。

琵琶湖を右下に望む

大阪湾を望む

大津を過ぎるとまもなく左前方に大阪湾が見えてきました。左下には伊丹空港もはっきりと見えます。この時期太平洋側はどこも良く晴れているようです。左手に瀬戸内海の眺めを楽しみながら機は岡山から広島へ向かいます。

広島市上空にて

KUGAを通過すると左旋回で大分へ向かいます。ここからは九州を縦断し、南西諸島を島伝いに那覇へ向かいます。この辺りから少し下界に雲が広がってきました。

桜島上空を行く

まもなく機は鹿児島から桜島の上空にかかりました。今日は桜島は噴煙を上げていないようです。種子島VORへ向かいはじめたころから風が強くなり少し機体が揺れはじめました。下界もかなり雲で覆われてしまいました。

南西諸島上空を南下する

奄美大島、沖永良部島とVORをたどりながら飛んでいくとまもなく前方雲の切れ目に大きな島影が見えてきました。いよいよ沖縄本島まで来ました!

本島上空を那覇を目指す

那覇のATISとVORを受信しました。天候は晴れ、視界は良好、風は286度から12ノットでRWY36への着陸を指示されました。高度を下げながら沖縄NDBを南下し、右旋回でファイナルレグに入ります。いよいよ世界一周は間近です。

軽いクラブでのファイナル

ILSを参考にしながらマニュアルで高度を下げます。ぐんぐん滑走路が迫ってきました。GPWSが50-30-20と高度を告げます。スロットルを絞り軽くフレアをかけると、トンと愛機は滑らかにRWY36に接地しました。無事到着です!

ゆっくりと滑走路を離れ誘導路をスポットへ向かいます。1508、ダッシュ8は長い長い世界一周の旅を終え、国内線ターミナルの脇の小型機用スポットに停止しました。

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思えば長い旅でした。ちょっとした思いつきから始めた旅でしたが、それぞれの空港を全部アドオンで飾るのも大変な作業でしたし、何にもまして様々な気象条件の中を無事故で飛んでくるのも大変なストレスでした。もちろんマイアミでは滑走路を外れるという事故を起こしてしまいましたが、少なくとも生命や機体に影響のでる事故は起こさずに帰ってくることができました。また大型のジェットと違い、ほとんどの着陸はILSの自動操縦は使わずにマニュアルで降りたのも思い出の一つです。

世界中のいろんな風景をFS98を通して眺めてくることができたのも大きな楽しみでした。総離着陸回数は延べ30回、総飛行時間は92時間49分、バーチャルの期間だけでも14泊15日という大変なツアーでした。総飛行距離は21219.5マイル、総使用燃料は18421ガロンという膨大な量に上りました。でもこの間、カイロやパリ、ローマ、ワシントンなどでは市内観光もできましたし、野村さんとのダラスマルチも忘れられない思い出です。アラスカを飛んでおられたとおるさんとお会いできなかったのは唯一心残りでしたが、互いに励ましあいながら長いツアーを終えることができたと思います。

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いろんな思い出を胸に愛機のエンジンをシャットダウンしました。コクピットを出てタラップを降りると懐かしい沖縄の風が私を迎えてくれました。日本を離れていた5ヶ月間に現実社会でもいろんなことがありました。秋口からは学会に忙殺され、その後も臨床と学術研究に追われる毎日でした。そんな中、12月には実の父を亡くしました。いろんなことがあった1999年・・・

時は巡り、あと1日半で2000年を迎えます。長い旅をともにしてくれた愛機Dash8は今日のフライトを最後に那覇空港に展示されることになっています。本当に長い間お疲れさまでした。来たる2000年も素晴らしい年になることを願って・・・

長い間ご愛読有難うございました。

展示される愛機DASH8

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