★基本知識

ジェット旅客機の内部で使用する電気およびエアー、油圧などの動力源は主エンジンに取り付けられた発電機などから供給します。
では主エンジンを始動させるにはどうするのでしょうか?自動車のようにキーを回せば始動するような簡単なものではありません。

ジェットエンジンを始動させるには電気とエアーが必要になります。
エアー(風力)によってジェットエンジンのタービンを回転させ、あるていど回転が上がったところで燃料噴射、点火を行ない始動します。
そのために主エンジン以外から電気やエアーが必要となります。

GPU
GPUとは、Ground Power Unit の略で、地上において航空機の整備等を行なう際に航空機にエアーや電気を供給する施設。移動式(車両に設備を搭載したもの)と固定式(地上に設備を固定したもの)とがあります。

APU
APUとは、Auxiliary Power Unit の略で、航空機の主エンジンを始動させたり、空調・電気系統の補助動力として利用される補助動力装置です。APUは、通常小型のガスタービンエンジンで、航空機の胴体後部に取り付けられています。


主エンジン始動の簡単な流れ

GPUを使用する場合
GPUを使用するのはAPUが故障、もしくは使えない場合のみです。通常ではエンジン始動には使用しません。

  1. 航空機に搭載されているバッテリーのスイッチをONにし、電気系統をONにします。
  2. GPUを接続し外部から電気、エアーを供給します。
  3. 電源をGPUに切替えます。
    バッテリーはONのままです。OFFにするのは整備士が一日の終わりに電源を全て落とすときです。
  4. GPUから供給される電気、エアーにより主エンジンを始動します。
  5. 電源、エアーなどの供給を主エンジンに切り替えGPUを切り離します。


APUを使用する場合

  1. 航空機に搭載されているバッテリーのスイッチをONにし、電気系統をONにします。
  2. バッテリーの電源により機体後部に取り付けられているAPUを始動します。電気、エアーがAPUから供給できるようになります。
  3. 電源をAPUに切り替えます。
    バッテリーはONのままです。OFFにするのは整備士が一日の終わりに電源を全て落とすときです。
  4. APUから供給される電気、エアーにより主エンジンを始動します。
  5. 電源、エアーなどの供給を主エンジンに切り替えAPUをOFFします。




では細かく見ていきましょう。


1.プリフライト

機体の周りを回って異常がないかをチェックします。
外部視点にして機体の周りを確かめて見ましょう。


●機体の電源やスイッチなど全てがOFFの状態(DARK COCKPIT)から電源まわりを入れるのは1日の初便の最初だけです。
  通常は専門の作業員さんが行い、パイロットがコクピットに乗り込んだときには電気が入っている状態となっています。


●パイロット自身が行う DARK COCKPIT からの手順は以下のようになります。

  1. BATTERY SWITCH・・・ON
  2. STBY POWER SELECTOR・・・AUTO
  3. HYD ELECTRIC PRIM PUMP SWITCHES・・・OFF
  4. HYD DEMAND PUMP SWITCHES・・・OFF
  5. LANDING GEAR LEVER・・・DOWN
  6. ALTERNATE FLAP SWITCH・・・OFF
  7. ELECTRICAL POWER・・・ESTABLISH
  8. BUS TIE SWITCHES・・・AUTO


実際にやっていきます。

1)バッテリー・スイッチ・・・・・ON
2)スタンバイ・セレクター・・・・・AUTO
バッテリースイッチ @を押し、スタンバイセレクターAをAUTOにします。

これによってオーバーヘッドパネルなど、計器のライトが点灯します。

  


3)ハイドローリック・エレクトリック・プライマリーポンプ・スイッチイズ・・・・・OFF
4)ハイドローリック・デマンドポンプ・スイッチイズ・・・・・OFF

電源油圧ポンプのスイッチが全てOFFになっていることを確認します。
機体に電源を供給したときに不用意にシステムが作動して事故が起こらないようにするためにとても重要です。

 


5)ランディング・ギア・レバー・・・・・DOWN
ランディング・ギア・レバーがダウンの位置にあり、3個のランディング・ギア・インジケーター・ライトがグリーンであることを確認します。

 


6)オルタネート・フラップ・スイッチ・・・・・OFF

ペデスタルのフラップ・レバーとメインパネルのフラップ・ポジション・インジケーターの位置が一致していることを確認します。
オルタネート・フラップ・セレクター@がNORMの位置に、オルタネート・フラップ・スイッチ LEA、TEB がOFFでランプが点灯していないことを確認します。

  


7)エレクトリック・パワー・・・・・ESTABLISH(確立)
電源を確保します。
電源には地上電源のGPU、機体後部に取り付けられているAPUのどちらかを使用します。

地上電源(GPU)は一般に APU がまだ機能していなくても手早く済ませたい時、またはゲートでの時間が長引いて APU のシャットダウンを望むときに使われます。
地上電源は飛行機の全システムを操作するための電力を供給することができます。
GPUを使用するのはAPUが故障、もしくは使えない場合のみです。通常ではエンジン始動には使用しません。

地上電源(GPU)は地上にいる時にオーバーヘッドパネルのキャビンコミュニケーションパネルを使ってグランドスタッフを呼び出して作業をします。
地上電源が接続されると、EXT PWR プッシュボタンの AVAIL ライトが点灯します。
この地上電源の表示は飛行機で使用できるようになったことを表しています。
飛行機から地上電源を切り離したい時もまたオーバーヘッドパネルのキャビンコミュニケーションパネルからグランドスタッフを呼び出して行います。

飛行機のために地上電源を使いたい場合、パイロットは手動にて AVAIL ボタンを押すことにより EXT PWR を選択しなければなりません。
また、飛行機のシステムから地上電源を切り離す時もパイロットはいくつかのボタンを押して選択を解除しなければなりません。

地上電源の選択は現在の飛行機のパワーのうち、他のパワーソースを使わないようにします。( "kicks off" します)
地上電源がはずされると、システムは最適なパワーソースから再び供給されるようになります。

機体のエンジンを始動する為には電力とエアーが必要となります。
APUを始動すれば電力とエアーの両方が作られます。
APU無しで機体のエンジンを始動するにはグラウンドの電源、そしてグランドのエアーソースをつなぐ必要があります。

以下にグランドの電源(GPU)をつなぐ方法を解説します。


●この説明書ではAPUを始動させて操作することを標準としています。以下に説明するグランドの電源接続は参考としてご覧下さい。

グランド・パワー(地上原電)を使う場合は以下の手順で行います。

(1)グランド・パワーの接続要求

オーバーヘッドパネルのキャビンコミュニケーションパネルを使ってグランドスタッフを呼び出します。
@のグランドコールボタンを押すとグランドリクエストウィンドウが表示されますので、キーボードの1キーを押して外部電源の接続を行ないます。
グランドと交信しグランド・パワーをつないでもらいます。(グランドとコックピットの声での交信が行われます)

  




(2)地上電源が接続されるとEXT・PWRボタンが「AVAIL」と表示されますので、このボタンを押します。
EXP・PWRボタンにONと表示され、地上電源が供給されます。

>>

(3)グランド・パワーの切り離し
地上電源を切り離したい時は、接続の時と同じようにグランドと交信して行います。
グランドリクエストウィンドウを表示すると1の内容が外部電源切り離しメニューに変わっていますのでキーボードの1を押して外部電源を切り離します。


ここまで外部電源(GPU)の使用についての参考にして下さい。



●ここから地上電源は使用せず、APUを使う方法について説明を続けます。
EXP・PWRボタンがOFFになっていることを確認します。

 



●APU・・・・・スタート・アンド・オン・バスイズ

(1)APU・スイッチ・・・・・START
補助パワーユニット APU を始動させます。
APU・スイッチをスタート位置に回すと、左側の 「FAULT」 表示の上にに 「RUN」 と点滅表示されます。

APU・スイッチから手を離すとAPU・スイッチは 「ON」 位置に戻り左側の 「RUN」 表示は消えます。
しばらくしてAPUが正常に始動し、APUの出力が安定すると左側に 「RUN」 と表示されたままになります。
この間 約1分かかります。

ここまでできましたら、この1分間を利用して JFltcrwPro にて空港アナウンスを行ないましょう。
「C-A-0」 または 「C-C」 とキーインすることにより空港アナウンスが開始されます。

パタパタパタパタ(パタパタ時刻表が表示され)
「お客様に出発のご案内をいたします。xxxxx航空 xxx便 xxxx空港行きは最終のご搭乗案内をいたしております......」



空港アナウンスを聞いているうちにAPUがRUNになります(^^
これでAPUからのパワーが利用可能になりました。


(2)バス・タイ・スイッチイズ・・・・・AUTO
APU・GENボタン@を押してONにします。

 >

左のBUS・TIEボタンを押し、レフト・AC・バスに電力を供給します。
メインパネルのそれぞれの計器に電力が供給され、それぞれの表示やライトが点灯します。
いよいよ動き出した感じですね (^-^)/


   ↓
 

右のBUS・TIEボタンを押し、ライト・AC・バスに電力を供給します。
メインパネルのそれぞれの計器に電力が供給され、それぞれの表示やライトが点灯します。


   ↓
 

これで左右の電源メインバスがONとなりました。
左のバスタイ、右のバスタイをONすることによりそれぞれがどこに電源を供給しているかとてもよくわかります!
このようなこまかな再現も Level-D 767 のリアリティのすごさですね。

左右のUTILITY・BUSボタンを押し、ユーティリティ・バスに電力を供給します。



左右のメインエンジン発電機からの電力コントロールスイッチをONにします。
まだメインエンジンの発電機が始動していないのでOFFライトが点灯のままになります。
メインエンジンが始動され、エンジンの発電機が働き、電力が供給されるとOFFライトが消灯します。



以上で電源のラインは全てONとなりました。

APUを運転する為の燃料は左ウィングタンクから供給されます。
現在APUを運転中ですので下のように左ウィングのフォワードポンプのPRESSライトが消灯し、APUに燃料が供給されていることがわかります。

 



これで電源の供給が行われました。
1日の初便の一番最初にこれら操作が行われるだけで、通常パイロットがコクピットに入るとここまでの状態になっています。