基本知識

ジェット旅客機の内部で使用する電気およびエアー、油圧などの動力源は主エンジンに取り付けられた発電機などから供給します。
では主エンジンを始動させるにはどうするのでしょうか?自動車のようにキーを回せば始動するような簡単ではありません。

ジェットエンジンを始動させるには電気とエアーが必要になります。
エアー(風力)によってジェットエンジンのタービンを回転させ、あるていど回転が上がったところで燃料噴射、点火を行ない始動します。
そのために主エンジン以外から電気やエアーが必要となります。

GPU

GPUとは、Ground Power Unitの略で、地上において航空機の整備等を行なう際に航空機にエアーや電気を供給する施設。移動式(車両に設備を搭載したもの)と固定式(地上に設備を固定したもの)とがあります。

APU
APUとは、Auxiliary Power Unitの略で、航空機の主エンジンを始動させたり、空調・電気系統の補助動力として利用される補助動力装置です。APUは、通常小型のガスタービンエンジンで、航空機の胴体後部に取り付けられています。

主エンジン始動の簡単な流れ

GPUを使用する場合

  1. 航空機に搭載されているバッテリーのスイッチをONにし、電気系統をONにします。
  2. GPUを接続し外部から電気、エアーを供給します。
  3. 電源をGPUに切替え、バッテリーをOFFします。
  4. GPUから供給される電気、エアーにより主エンジンを始動します。
  5. 電源、エアーなどの供給を主エンジンに切り替えGPUを切り離します。


APUを使用する場合

  1. 航空機に搭載されているバッテリーのスイッチをONにし、電気系統をONにします。
  2. バッテリーの電源により機体後部に取り付けられているAPUを始動します。電気、エアーがAPUから供給できるようになります。
  3. 電源をAPUに切り替え、バッテリーをOFFします。
  4. APUから供給される電気、エアーにより主エンジンを始動します。
  5. 電源、エアーなどの供給を主エンジンに切り替えAPUをOFFします。




では細かく見ていきましょう。

1.プリフライト

機体の周りを回って異常がないかをチェックします。
外部視点にして機体の周りを確かめて見ましょう。


2.コクピット・プリパレーション

コックピットに乗り込んだら、各部のチェックおよび操作を行います。

1)メインテナンス・ステイタス・・・・・チェック
2)ログ・アンド・ドキュメント・・・・・チェック・オン・ボード

3)バッテリー・スイッチ・・・・・オン
バッテリースイッチ
@を押し、AをAUTOにします。

これによってオーバーヘッドパネルなど、計器のライトが点灯します。



4)エレクトリック・ハイドロ−リック・ポンプ・スイッチイズ・・・・・オフ
電動油圧ポンプのスイッチが全てOFFになっていることを確認します。
機体に電源を供給した時に不用意にシステムが作動して事故が起こらないようにするためにとても重要です。

 

5)ランディング・ギア・レバー・・・・・ダウン
ランディング・ギア・レバーがダウンの位置にあり、3個のランディング・ギア・インジケーター・ライトがグリーンであることを確認します。

 

6)レーダー・スイッチイズ・・・・・オフ
レーダースイッチはこの位置にありますが Level-D 767 では残念ながら操作することは出来ません。
位置だけみておいてくださいね(^^

 

7)グラウンド・パワー・スイッチ・・・・・オン/オフ
地上電源(GPU)は一般に APU がまだ機能していなくても手早く済ませたい時、またはゲートでの時間が長引いて APU のシャットダウンを望むときに使われます。
地上電源は飛行機の全システムを操作するための電力を供給することができます。

地上電源(GPU)は地上にいる時にオーバーヘッドパネルのキャビンコミュニケーションパネルを使ってグランドスタッフを呼び出して作業をします。
地上電源が接続されると、EXT PWR プッシュボタンの AVAIL ライトが点灯します。
この地上電源の表示は飛行機で使用できるようになったことを表しています。
飛行機から地上電源を切り離したい時もまたオーバーヘッドパネルのキャビンコミュニケーションパネルからグランドスタッフを呼び出して行います。

飛行機のために地上電源を使いたい場合、パイロットは手動にて AVAIL ボタンを押すことにより EXT PWR を選択しなければなりません。
また、飛行機のシステムから地上電源を切り離す時もパイロットはいくつかのボタンを押して選択を解除しなければなりません。

地上電源の選択は現在の飛行機のパワーのうち、他のパワーソースを使わないようにします。( "kicks off" します)
地上電源がはずされると、システムは最適なパワーソースから再び供給されるようになります。

機体のエンジンを始動する為には電力とエアーが必要となります。
APUを始動すれば電力とエアーの両方が作られます。
APU無しで機体のエンジンを始動するにはグラウンドの電源、そしてグランドのエアーソースをつなぐ必要があります。

以下にグランドの電源(GPU)をつなぐ方法を解説します。

●この説明書ではAPUを始動させて操作を行っていきますので、以下のグラウンドの電源接続は参考としてご覧下さい。

グランド・パワー (地上電源)を使う場合は以下の手順で行います。

(1)グランド・パワーの接続要求

オーバーヘッドパネルのキャビンコミュニケーションパネルを使ってグランドスタッフを呼び出します。
@のグランドコールボタンを押すとグランドリクエストウィンドウが表示されますので、キーボードの1キーを押して外部電源の接続を行ないます。
グランドと交信しグランド・パワーをつないでもらいます。(グランドとコックピットの声での交信が行われます)

  




(2)地上電源が接続されるとEXT・PWRボタンが「AVAIL」と表示されますので、このボタンを押します。
EXP・PWRボタンにONと表示され、地上電源が供給されます。

>>

(3)グランド・パワーの切り離し
地上電源を切り離したい時は、接続の時と同じようにグランドと交信して行います。
グランドリクエストウィンドウを表示すると1の内容が外部電源切り離しメニューに変わっていますのでキーボードの1を押して外部電源を切り離します。


ここまで外部電源(GPU)の使用についての参考にして下さい。



●ここから地上電源は使用せず、APUを使う方法について説明を続けます。
EXP・PWRボタンがOFFになっていることを確認します。

 


●フォールト/イノップ・ディテクション・・・・・チェック
エンジンおよびAPUの火災/過熱探知システムが正常に機能しているかを確認します。

8)オーバーヒート・ディテクション・スイッチイズ・・・・・ノーマル
9)テスト・スイッチ・・・・・ホールド・ツー・フォールト/イノップ

●ファイアー/オーバーヒート・ワーニング・・・・・チェック
エンジンおよびAPUの火災/過熱警報システムが正常に作動することを確認します。

10)テスト・スイッチ・・・・・ホールド・ツー・オーバーヒート/ファイアー
11)マスター・ファイアー・ワーニング・ライト・・・・・プレス
12)イクスティングイッシャー・テスト・スイッチ・・・・・チェック



火災警報テストボタン @ を押します。

 

テストボタンを押しつづけている間、「プルルルル」 という警告音とともにマスターコーションライトと各火災警報器が点灯することを確認します。

 


 


火災警報器が正常に動作することが確認できましたので安心してAPUをスタートすることが出来ます。
レフトACバスにAPUやエンジン発電機からの電力が供給されている場合は、以下のワーニングライトおよびEICAS警告表示がされますので、後で確認しておいてください。
ここではまだレフトACバスに電力が供給されていませんので以下の表示はありません。

 


●APU・・・・・スタート・アンド・オン・バスイズ

13)APU・スイッチ・・・・・スタート
補助パワーユニット APU を始動させます。
APU・スイッチをスタート位置に回すと、左側の 「FAULT」 表示の上にに 「RUN」 と点滅表示されます。

APU・スイッチから手を離すとAPU・スイッチは 「ON」 位置に戻り左側の 「RUN」 表示は消えます。
しばらくしてAPUが正常に始動し、APUの出力が安定すると左側に 「RUN」 と表示されたままになります。
この間 約1分かかります。

ここまでできましたら、この1分間を利用して JFltcrwPro にて空港アナウンスを行ないましょう。
「C-A-0」 または 「C-C」 とキーインすることにより空港アナウンスが開始されます。

パタパタパタパタ(パタパタ時刻表が表示され)
「お客様に出発のご案内をいたします。xxxxx航空 xxx便 xxxx空港行きは最終のご搭乗案内をいたしております......」



空港アナウンスを聞いているうちにAPUがRUNになります(^^
これでAPUからのパワーが利用可能になりました。


14)APU・ジェネレーター・スイッチイズ・・・・・オン
APU・GENボタン@を押してONにします。

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左のBUS・TIEボタンを押し、レフト・AC・バスに電力を供給します。
メインパネルのそれぞれの計器に電力が供給され、それぞれの表示やライトが点灯します。
いよいよ動き出した感じですね (^-^)/


   ↓
 

右のBUS・TIEボタンを押し、ライト・AC・バスに電力を供給します。
メインパネルのそれぞれの計器に電力が供給され、それぞれの表示やライトが点灯します。


   ↓
 

これで左右の電源メインバスがONとなりました。
左のバスタイ、右のバスタイをONすることによりそれぞれがどこに電源を供給しているかとてもよくわかります!
このようなこまかな再現も Level-D 767 のリアリティのすごさですね。

左右のUTILITY・BUSボタンを押し、ユーティリティ・バスに電力を供給します。



左右のメインエンジン発電機からの電力コントロールスイッチをONにします。
まだメインエンジンの発電機が始動していないのでOFFライトが点灯のままになります。
メインエンジンが始動され、エンジンの発電機が働き、電力が供給されるとOFFライトが消灯します。



以上で電源のラインは全てONとなりました。

APUを運転する為の燃料は左ウィングタンクから供給されます。
現在APUを運転中ですので下のように左ウィングのフォワードポンプのPRESSライトが消灯し、APUに燃料が供給されていることがわかります。

 



15)フラップ・レバー・・・・・セット

ペデスタルのフラップ・レバーとメインパネルのフラップ・ポジション・インジケーターの位置が一致していることを確認します。